12月 30, 2011
けれども大陸の西欧諸国をNATOの枠組みにつなぎ止めて置くために、ライン川防衛線はたとえ軍事的には無理があっても政治的には必須の要件でした。誰が考えてもソ連軍侵攻時にピレネー山脈まで撤退するという「オフタックル」の戦争計画がフランス、ベルギー、オランダといった国々に受け容れられる訳がありません。戦争に巻き込まれた上に自国領土を敵に差し出すような国は無いからです。防衛線を変更しない限り、イギリスを除く主要国のNATO脱落は自明のことでした。けれどもNATO全軍プラスアメリカ軍でもライン川防衛線は守り切れそうもありません。だからといって軍事的に現実味のある防衛計画を採用すればNATOが内部崩壊してしまうという現実がある以上、アメリカは西欧の地上戦に核兵器を大量投入する決意を固めます。どう考えても兵力不足なライン川防衛線という軍事的な無理を通すための窮余の策が「戦術核兵器」なのです。